タキシード・ジャンクション(その1)…参考にすべき原曲はどれ?

1/20(水)に久しぶりのブルーコーツの本番がありました。
そのコンサートでゲストボーカルの伴奏をアレンジしたのですが、
リハの際に、バンドのみで演奏するタキシード・ジャンクションの一部のパート譜が亡くなっていることが発覚。
本番では演奏することが決まっているとのこと、どうにかしないといけなくなりました。

足りないパートはTs1,Tp3,P,D。
今あるパート譜をお借りしてFinaleに打ち込みます。
クロスワードパズルのように穴を埋めるつもりでいましたが、
データを眺めていると3つほど問題点が見えてきました。

(1) 編成が小さくても出来るように書いてあるため、フル編成で演奏するベストのアレンジではない。
(2) グレンミラーの古い録音を元にアレンジされている(と思われる)が、より新しい時代の演奏を参考に書き込みが加えられている。
(3) もとの採譜が怪しい。

(1)はBGMの仕事に使う古い楽譜に良くあるパターンですね。(またそのうち詳しく書きます。)
とりあえず、今のブルーコーツではこのタイプの楽譜は必要なさそうと判断。
フル編成で演奏すると効果的なように変更することにしました。

(2)ですが、
手持ちの音資料を比較しつつ、その中から3つのテイクを選んで、細かく確認・比較しました。

https://www.youtube.com/watch?v=qZJ5ecPHgQ8 …(a) The Popular Recordings (1938-1942)収録と同じ?
https://www.youtube.com/watch?v=0VQlFfGizkI …(b) In The Digital Mood
https://music.apple.com/jp/album/legend/1043012742 …(c) Legend!

確認すべき点は以下の4点。

[1] B.Saxは入っているのか?
[2] Dsはブラシで演奏?スティックで演奏?
[3] サビ部分のTbは?
[4] Tpの例のユニゾンフレーズの後はP Soloか?Ds Soloか?

順に確認していきます。

[1] B.Saxは入っているのか?
(a)を聴くと曲を通してB.Saxは入っていません。
(b)(c)はB.Saxが曲を通して入っていて、Saxのユニゾンのメロディを1オクターブ下で演奏しています。
ブルーコーツの楽譜は、最初のSaxのメロディーの箇所で、B.SaxにA.Sax持ち替えがわざわざ指定されているので、
古い録音を元にしているように思えますが、
楽譜の書き込みを見ると最初からB.Saxで演奏するように変更されているので、新しい録音のように演奏しようとしていたと思われます。
→B.Saxあり((b)(c)のパターン)を採用。

[2] Dsはブラシで演奏?スティックで演奏?
(a)を聴くと曲を通してブラシで演奏していますが、
(b)(c)を聴くと曲を通してスティックで演奏しています。
ブルーコーツのDsの楽譜が無くなっていたので、元のアレンジの意図は分かりませんが、
スティックで演奏した方が、後半のダイナミクスをf-p-fと変えて3回繰り返すフレーズのダイナミクスの幅を大きくつけられそうです。
(その意図を持って(a)のブラシから(b)(c)スティックの変更が行われたようにも思えます。)
→Dsはスティック((b)(c)のパターン)を採用。

[3] サビ部分のTbは?
最初のSaxのユニゾンメロディの後、ブラスがメロディを引き継ぎますが、
その際、Tbはどうなっているか?
(a)はTbセクションが全員入っているように聴こえます。
(プランジャーミュートの直後なのにストレートミュートのような音に聴こえるのはプランジャーをクローズしたまま演奏しているのか?それともハットを使っているのか?…よく分かりません。)
(b)は最初はTb1のみがB♭・B♭・G・E♭の4音を演奏し、その次から他の3人も加わっているように思えます。
(C)は最初はTb1のみがF・F・G・E♭の4音を演奏し、その次から他の3人も加わっているように思えます。
(プランジャーを置いてから演奏しようとしたら準備が間に合わなくて入りが怪しい感じですね…。)
サビの最初の4音だけTbが1人で、それ以降が4人になるのは、音楽的には不自然なので、
プランジャーのフレーズからの移行がスムーズになるように、サビの最初だけTb1人にするように現場で変更しているのではないかと推測しました。
→サビの最初もTb4人で演奏するパターン((a)のパターン)を採用。
(ただし、演奏しにくい場合はTb3の1人だけが最初の4音を演奏するパターンもOKという選択肢も提示。)

[4] Tpの例のユニゾンフレーズの後はP Soloか?Ds Soloか?
後半のダイナミクスをf-p-fと変えて3回繰り返す箇所の、Tpの例のユニゾンフレーズの後ですが、
(a)(b)はP Solo、(c)はD Soloになっていますが、
ダイナミクスをfからpに落とす際にはD Soloの方が効果的に思えます。
→D Solo((c)のパターン)を採用。

[4]に付随して、f-p-fと変えて3回繰り返す箇所の、ダイナミクスが変わるポイントや変え方(最初のfはcresc.してからf。最後のfはsub. f。)を(c)を参考に明確に楽譜に指示。

…他にも細かいところが色々ありますが、大まかにはこんなところでしょうか。
シンプルな曲でも、グレンミラー楽団が時代によって微妙にアレンジを変えながら演奏しているので、考えることは多いですね。