Finaleのスウィング効果について(ハネる16分音符の入力方法)
ジャズに限らず、ポップスにおいて「ハネる」リズムはいろいろなところで使われています。
楽譜作成ソフトのFinaleでもこの「ハネる」リズムに対応していますが、
ソフト上どう定義されているのかはハッキリしないところがあります。
Mac版のFinale26のオンラインマニュアルでは、
「純粋な3連符スウィングの場合」「弱拍の8分音符を3連符の最後の1つとして演奏します。」
「純粋な3連符スウィングでプレイバックするには、スウィング値を「100」にします。もろちん、スウィングの程度に応じて様々な値を指定できます。」
とあります(→こちらを参照)が、
(1) アプリ内部ではどう処理しているのか?
(2) ハネる16分音符はどう入力したら良いのか?
(3) 3連のグルーブの中でハネる場合は?
など、疑問点は色々出て来ます。
…ということで実験したのがこの動画です。
(Mac版のFinale 26.2.2.493で実験しています。)
結論としては、
・「裏拍を4分音符の1/6だけ遅くする」=「swing 100%」と処理している
・ハネる16分音符は8分音符を1拍とする拍子に書き換える。
・表:裏=2:1になるようにするには、4分音符が1拍の場合は「swing 100%」、8分音符が1拍の場合は「swing 50%」にする。
ということになるようです。
…以下、だらっと考察。
——
プレイバック・コントローラーの「Human Playbackスタイル」は「使用しない」に、「スウィング効果」は「0」にしています。
「発想記号ツール」で文字発想記号として、「swing 0%」「swing 75% (light)」「swing 100% (standard)」「swing 125% (heavy)」「swing 150% (dotted 8th, 16th)」を作り、それぞれプレイバックのタイプ「スウィング」を絶対値で指定しました。(それぞれ標準の選択肢としてあります。)
更に、標準の選択肢にはない「swing 50%」「swing 300%」も作りました。
マニュアルや選択肢の注釈にある通り、表と裏の8分音符の長さの比は、
0%は1:1、100%は2:1、150%は3:1、
となります。
100%のときには、裏の8分音符が4分音符の1/6(6連符1つ分)だけ後ろにずれることになり、
150%のときは、100%のときの1.5倍後ろにずれているので、計算が合います。
ということで、アプリ内では
「裏拍を1/6拍遅くする」=「swing 100%」と処理しているのではないか?
と仮説を立て、実験しました。
[A] 0:04〜0:35
…とりあえず、これで合っているようです。
であれば、裏の8分音符が次の拍の表の8分音符と重なるようにも出来るのか?
…300%で出来てしまうようですね。 (…0:35)
動画には省きましたが、300%を超える設定もできます。
拍の裏のタイミングが…次の拍の表より後になりますw。
では、ハネる16分音符はどうすれば良いのか?
拍単位でハネているのであれば、8分音符が1拍の拍子に書き換えれば良いのではないか?
と仮説を立て、実験しました。
[B] 0:41〜1:17
16分音符をハネるようには出来ましたが、
「裏拍を1/6拍遅くする」=「swing 100%」と処理しているのではないか?
という仮説は違っていたようです。
「swing 150%」で裏の16分音符が次の16分音符とピッタリ重なっていることから、
8分音符のスウィング効果の設定の数値のちょうど半分になるようです。
つまり、
「裏拍を4分音符の1/6だけ遅くする」=「swing 100%」と処理している
と考えた方が良さそうです。
※「表拍と裏拍の比が2:1になる」=「swing 100%」の方が直感的に把握しやすいと思うのですが、なぜこういう仕様になっているのでしょうか?
では、付点4分音符を1拍とする4拍子、12/8拍子の場合はどうなるのか?
ということで実験しました。
[C] 1:17〜1:35
1拍を2分割した表と裏の付点8分音符がハネるかも?
と思いましたが、ハネませんでした。
8分音符にも付点8分音符にも影響はありません。
では、12/8拍子を8分音符を1拍とする12拍子として定義するとどうなるのか?
[D] 1:35〜2:11
8/8拍子の場合([B])と同様に、16分音符がハネています。
2:1になるのは「swing 50%」の場合です。
スウィングに限らず、もっと色々なグルーヴを定義できるように機能を拡張するとなると…
・1拍を4分割して、それぞれの位置を適宜前後出来る。
→サンバやファンクのグルーヴや、ミディアムスウィングの中での4つの16分音符のニュアンスなど
・1拍を3分割して、それぞれの位置を適宜前後できる。
→3連フィールのグルーヴや、ウィンナ・ワルツなど
なども考えられますが、
…まぁ、楽譜作成ソフトにはそこまで入れなくても良いのでしょうかね。
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