タキシード・ジャンクション(その2)…そのアレンジの用途は?

2021-03-02

(ちょっと間が空いてしまいましたが、「タキシード・ジャンクション(その1)」でチラっと触れた内容を…)

1月にブルーコーツで演奏したタキシード・ジャンクションのアレンジですが、
もともとブルーコーツが持っていた楽譜は、
編成が小さくても演奏可能なように」アレンジしているものでした。
(それがコンサート用には適さないと判断して書き直したのでした。)

フル編成でも、編成を縮小しても、同じ楽譜で演奏できるようにしたアレンジは、
会場の広さや予算に制限がある場合など
状況に合わせて柔軟に対応することを求められているバンドには重宝したのでしょう。

こういうタイプのアレンジは、5sax・8Brassを基本としつつも、必要に応じて、
4th Trb, 4th Trp, 4th Tenor, 3rd Trb, 2nd Trb, 3rd Trp, 3rd Altoの順に管楽器のパートを削り、
最低限、1st Alto, 2nd Tenor, Bari, 1st Trp, 2nd Trp, 1st Trbの6パートがあれば成立するようになっています。

(これは私の推測ですが、ソロを1st Alto, 2nd Tenor, 2nd Trp, 1st Trbに書くことが多いことや、そもそも1st Alto, 3rd Alto, 2nd Tenor, 4th Tenorと番号を振っていることも、こういうタイプのアレンジが一般的だった頃の影響なのではないかと思います。)
(最近のアレンジは1st Alto, 2nd Alto, 1st Tenor, 2nd Tenorという表記が多いですが。)

基本となる管楽器6パートで成立するようにアレンジを書き、
残りのパートは「優先度の高いパート」から「書き加えるとしたらあった方が良い音」を順に書き加えていくので、
「優先度の低いパート」は、どうしても音の流れが不自然になり、極端な場合は4th Trbが1st Trbより高い音を割り振られる箇所も出てきます。
編成を柔軟に縮小できるメリットの代わりに演奏のしやすさを犠牲にしているので、
フル編成で演奏する場合には、良い演奏にはならないことが多いです。
(明らかにおかしな音がする訳ではないですが。)

今、こういう楽譜にニーズがどのくらいあるのかは分かりませんが、
今でもこういう楽譜は売っています。

私が今まで「In The Mood」を演奏した際に、一番よく見た楽譜もこのタイプの楽譜です。
https://www.sheetmusicplus.com/title/in-the-mood-original-edition-sheet-music/3109467

楽譜のプレビューをご覧になれば「ああ、この楽譜ね」と思われる方も多いかと思います。

明らかに分かるところでいうと、原曲ではTenorソロの掛け合いの箇所が、1st Altoと2nd Tenorの掛け合いに変更されていることに気がつくと思います。
また、「優先度の低いパート」のフレーズを聞いていると、
そのパートを自分が演奏していなくてもかなり不自然なのは分かると思います。

このアレンジ自体が悪いわけではありません。

編成を柔軟に縮小することを前提とするのであれば、このアレンジの方が良く、
編成を縮小する予定がなければ、他のアレンジの方が良い、
という話です。
(ただ、楽譜を買う際に「編成を柔軟に縮小できるようにしたアレンジ」であるという情報がないのであれば、それはちょっと問題な気もしますが…。)

もし、普段演奏しているアレンジが演奏しにくいものの場合、特に古い楽譜であれば、「編成を柔軟に縮小できるようにしたアレンジ」である可能性もあります。
他のアレンジを入手することで演奏が随分変わるかもしれません。