【編曲解説】三宅裕司 & Light Joke Jazz Orchestra with 島袋寛子 3days @ブルーノート東京

7/16(金)〜7/18(日)の3日間に渡った三宅裕司 & Light Joke Jazz Orchestra(以下「三宅LJJO」)のライブが終わりました。
とても充実した楽しいライブでした。

集合写真(2021年7月18日@ブルーノート東京)

ブルーノート東京のウェブサイトに初日のライブリポートが掲載されていますが、
今回はこのバンドではあまり演奏したことのないスタンダードジャズを演奏するということで、
殆どの曲が今回のために新しく書いたアレンジでした。
(ちなみに、初めに三宅さんが選曲してプログラムを作り、アレンジの内容は大体私に任されていることが多いです。サウンドとしてはサミーネスティコ〜クインシージョーンズあたりをイメージしていますが、最近はもうちょっとモダンな感じになることも多いです。)
私がどんな事を考えて新しいアレンジしたか、各曲毎に書いてみます。

(1) Tuxedo Junction

グレンミラー楽団の有名曲。
三宅LJJOのコンサートで同曲を既にアレンジしていたが、ダンサーが入った演出だったため、ダンサー無しで演奏するには不向き。
そのアレンジでは原曲と同じテンポで始まり、途中で速いテンポに切り替わるようにしていたが、今回は演奏する他の曲とのバランスをみて、原曲とほぼ同じテンポに。
原曲やグレンミラーのカバーアレンジ、他のアレンジも研究した上で、有名で必要なフレーズを入れ込みつつ、Sax Soliを書き、サウンドはグレンミラーよりモダンな感じに。
(その際の考察はこちら。)

(2) Georgia On My Mind / Sweet Memories

今回のプログラム(アンコールを除く)では唯一、三宅LJJOで以前から演奏しているアレンジ。
手元にある過去の録音をみると、おそらく2008年から演奏している。

(3) Sing, Sing, Sing

ベニーグッドマン楽団の有名曲。
三宅LJJOで割と最近に同曲をアレンジしていたが、これもダンサーが入った演出だったため、ダンサー無しで演奏するには不向き。
今回は白土直子さん・丸山優子さんのコーラスをフィーチャーする曲にするため、メロディだけでなくスキャットでソロ、アンサンブル部分にもスキャットをふんだんに盛り込む。
(例のTp Soloをスキャットに…とも思っていましたが、音域が広すぎるため断念。)

(4) Fly Me To The Moon

ここから3曲は島袋寛子さんをフィーチャー。
3曲のバランスを見て、この曲はミディアムテンポに。
Coco d’Or(島袋寛子さんのジャズプロジェクト)のアレンジも参考にしつつ、オーソドックスなスタイルでアレンジ。

(5) Summertime

Coco d’Orではファンキーな感じのアレンジなので、それに近い方が歌いやすいのかもと思ったのですが、今回のプログラムの流れを考えて、スローに。
原曲(「ポーギーとベス」のアレンジ)のイントロや有名なフレーズを入れ込みつつ、サウンドは多少モダンな感じにし、単調にならないよう間奏は雰囲気を変えて盛り上げる感じで。

(6) A Night In Tunisia

Coco d’Orではチャカ・カーンの録音を基にしつつ、もう少しジャズっぽい感じにしたアレンジ。
今回のプログラムでは島袋寛子さんが歌う最後の曲なので、ここでしっかり盛り上がるようにする必要がある。
また、三宅LJJOでは過去に2度ゲストを迎えて同曲を演奏しているので、できればその2つのアレンジとも違うアレンジにする必要もある。
ということで、歌うメロディーはチャカ・カーンとほぼ同じにしつつ、リズムは6/8拍子のアフロと2種類のテンポのスウィング、サウンドは更にモダン(コンテンポラリー?)なジャズに。
(三宅さんにとってはここが山場だったかも。)

(7) In The Mood

グレンミラー楽団の有名曲。
「Tuxedo Junction」と同様にカバーアレンジも研究した上で、有名で必要なフレーズを入れ込みつつ、原曲よりはモダンな感じに。
ソロスペースは循環(Rhythm Change)とブルースにして、それぞれTsの掛け合い、Tpの掛け合いに。
三宅LJJOのいつものレパートリーは歌謡曲をジャズアレンジし、ジャズスタンダードのメロディーを引用したりすることも多いので、今回はその逆の趣向も。

(8) Take The ‘A’ Train

デュークエリントン楽団の有名曲。
これも原曲とカバーアレンジを研究した上で、有名で必要なフレーズを入れ込みつつ、原曲よりモダンな感じに。
プログラム本編の最後の曲なので、盛り上がるように、アカペラのBrass SoliやSax Soliもしっかりあって、アンサンブル多め。
(ビッグバンドのアレンジとしては比較的オーソドックスなものですが、この曲が一番大変だったかも。)

…以上、今回のライブのテーマ「スタンダードジャズをスウィングしよう」の通りの盛り沢山のプログラムでした。

次回以降、選曲が今まで通りの「歌謡曲などの耳馴染みのある曲をジャズアレンジして演奏するコンセプト」でライブをすることになると、今回のアレンジはもう聴けないかもしれません。
ライブの映像をご覧になりたい方は、「見逃し配信チケット」をご購入になると、7/21(水)までアーカイブが見られるようですので、ご検討ください。
https://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventBundleCd=b2171943
https://eplus.jp/sf/detail/0478640003-P0030004