サミー・ネスティコと金管アンサンブル(その6)…「By My Side」を金管8重奏にアレンジ

2021-03-12

その5で選んだ「By My Side」を実際に金管8重奏(3Trp, Horn, 3Trb, Tuba)にアレンジしました。

「By My Side」金管8重奏

原曲はこちらです。

「By My Side」Count Basie

以下、アレンジした最に留意した点です。

(1) キー

 原曲はFで、転調はありません。

 原曲の1st Trpの最高音は、Piano Solo後のTuttiで出てくる実音E♭。
 その4その5ではハーモニーを成立させるには高すぎると判断した音域ですが、
 (E♭という音自体は演奏に負担がかかる高い音ではあるものの、)
 この箇所では、Trpがオクターブユニゾンでメロディーを演奏しているので、
 伴奏に回せる5〜6パート(Horn, 3Trb, Tubaに場合によっては3rd Trpを加える)でハーモニーを成立させれば問題ありません。

 ただ、
 Piano Soloを1st Trb Soloに置き換えた場合、
 Piano Solo後のTuttiの出だしのフレーズは1st Trb以外の7パートで演奏することを考慮に入れると、
 ハーモナイズされた出だしのフレーズの1st Trpの最高音、実音Cがハーモニーを組み立てるには高すぎるため、
 キーをFからCまで下げる必要が
あります。

 曲の最初と最後は、原曲のキーのままの方が金管8重奏の編成にあっているので、
 (キーをCに変更すると、全体の流れを考えると高過ぎる/低過ぎるので、)
 「Piano Solo後の1コーラスのみ」キーをFからCに変更し、
 その前後のキーは変更せずFのままとします。

 (原曲ではPiano Solo後のメロディーが1オクターブ上がっていたものを、完全5度上がるように変更します。)

 転調の前後はうまく繋がるようにコードやフレーズを適宜変更します。

(2) Bass→Tubaの置き換え

 原曲は基本的にはずっと4分音符でウォーキングしていますが、
 テーマの前半はin 2のフィールを基本としつつも、
 それ以降はウォーキングしたり、in 2のフィールに戻ったり、メロディーに合わせたり、隙間を埋めたり、
 単調にならず変化をつけることで、Piano, Guitar, Drumsが無くても間が持つようにします。

 (4分音符の連続を避けたのでブレスを取るポイントも作れましたが、
  長い休みは作れませんでした。
  4分休符より長い休符は、1小節ブレイクが7箇所と最後の2小節ブレイクのみです。)

(3) アドリブソロ

 原曲のTrp Soloは3rd Trpに、Piano Soloは1st Trbに割り振っています。
 3rd Trp Soloは原曲のTrp Soloを採譜し、1st Trb Soloは作り直しました。
 アドリブソロのラインとベースラインは2声でなるべく成立するように、一旦は音符で書いています。
 (コードネームは併記しています。)

(4) 曲全体の構成・オーケストレーション

 盛り上がった後にもう1度テーマのモチーフが出てくる手前のフレーズを使ってイントロを作ります。
 (上の原曲のYouTubeの動画であれば4:41〜4:46あたり。)
 他は原曲と同じ構成でオーケストレーションしていきます。
 一番最後のPianoのフレーズは、最後のコードがHorn, Trbs, Tubaのみだったので、Trpに置き換えました。

…以上になります。

これで、Sammy Nesticoのテンポの異なる4曲、「Lonely Street」「By My Side」「Basie-Straight Ahead」「Ya Gotta Try」を金管8重奏にアレンジし終えました。

次回は、ここまでの過程を踏まえ、金管アンサンブルでジャズのアレンジを書く際の注意点と課題をまとめてみようと思います。

その7に続く)