サミー・ネスティコと金管アンサンブル(その3)…選曲とビッグバンドからの編曲の際の留意点

2021-03-07

その2にあるように、ネスティコ作品を何曲か選んで金管アンサンブルにすると決めました。

選曲の条件は以下のような感じです。

(1) ネスティコ作品の中でも(ビッグバンド界隈では)特によく知られているカウントベイシー楽団の演奏曲から選ぶ。

(2) それぞれにテンポの違う曲を選ぶ。
 曲を並べた時に変化がつくようにするため。
 バラードは既に書いたので、残り数曲はそれよりテンポの速い曲。
 「Tubaが演奏可能な速いテンポのベースラインを書けるか?」が問題になりそうなので、
 まずは少し速めのテンポ(Medium Fast)の曲を選んで様子を見ます。
 (何とかなりそうなら更に速いテンポの曲に挑戦するつもりで。)

(3) Dsソロの入るものは極力避ける。
 ドラムソロがある場合は何らかの方法で置き換えます。

(4) Saxの細かいフレーズがあるものは極力避ける。
 ビッグバンドでは、Saxの速いユニゾンフレーズの後にBrassのパンチのあるフレーズがくることが多いので、どちらにもTrpを割り振ろうとすると、Trpの人数が足りなくなることが予想できます。
 ということで、一旦避けることにします。
 (いずれ、何らかの工夫をして挑戦するかもしれません。)

(5) 長いアドリブソロがあるものは極力避ける。
 アドリブソロの部分とアンサンブルの部分とでコントラストを作るために、
 アドリブソロの部分はなるべく少人数で音量が小さくなっていた方が良く、
 できればアドリブソロのラインとベースラインの2声で成立すると良いが、
 2声で長い時間演奏するのは負担が集中しすぎるので、一旦避けることにします。

…ということで、「Basie-Straight Ahead」を題材に選びました。

ネスティコ作品は単純なメロディだけでなくアレンジ全体が重要なので、
金管アンサンブルにするには、ビッグバンドのアレンジをほぼそのまま置き換える必要があります。

ビッグバンドから金管アンサンブルに編曲する際の留意点は以下のような感じです。

(1) 原曲のアレンジを極力踏襲する。
 大前提です。(そうでなければ、ビッグバンドからアレンジする必要がそもそもないので。)
 Dsソロなどリアレンジが必要なところは、うまく前後が繋がるようにします。
(2) 必要に合わせてキーを下げる。
 コード楽器がなくなり、更に管楽器の人数が減っているので、1st Trpの音を変えずに同じハーモニーを作ろうとすると、無理が出ることもあります。そうなった場合は、ハーモニーが成立するところまでキーを下げます。
(3) Tubaに休みを作る。
 ベースはほぼ休みなく演奏していますが、Tubaは少なくともブレスを取る時間が必要です。
 ベースラインに細かくブレスを取る隙間を作ったり、(1拍程度の休み)
 原曲にないブレイクを作ったり、(1小節程度の休み)
 大胆にベースを抜いたり、(まとまった小節数の休み)
 など、可能な限り休みを作ります。
 (Trbにベースラインを任せるのは、Swingフィールの曲に関してはちょっと難しいと思っています。)
(4) 本来アドリブソロである部分は(一旦は)全て音符で書く。
 前述の通り、アドリブソロのラインとベースラインの2声で成立するようにしたいので、
 2声が不自然に同じ音に行ってしまったり、不自然な無音状態が出来てしまったりしないように、
 一旦は音符で書きます。
 (楽譜にはコードネームも併記します。)

…以上を踏まえて「Basie-Straight Ahead」を金管アンサンブルに編曲すると、こうなりました。

次にアレンジの内容を見ていきます。

その4へ続く)